正しい知識を得よう子供の包茎への対処
「何歳程度で包皮は剥けるものなのか」
「包茎手術をするなら早い方がいい?」
男の子を持つ親御さんとしては色々と気になるところでしょう。
不必要な治療は子供にとっても良くないため、まずは包茎に対する正しい知識を身に付けましょう。
包茎の割合
なんらかの要因によって包皮が正常に剥けない状態のことを真性包茎と呼びます。
順天堂大学医学部付属順天堂医院・公式HPによると、小児の真性包茎の割合は新生児でほぼ100%・乳児(生後0日から満1歳未満までの子)で約80%、幼児(満1歳から小学校就学まで)で約60%、小学生で約30%となっています。
小児の真性包茎はその多くが「包皮の癒着によるもの」であり、加齢に伴い自然に剥けてゆくケースがほとんどです。
したがって、基本的には成人までは様子を見ても問題ないとされています。
包茎が原因で起こりうる症状
尿道が狭い・包皮の入り口が著しく狭い等の症状によって、排尿障害(排尿が上手くできなくなる)が起こる可能性があります。
したがって、便器の周りにおしっこが飛び散っている場合は、包茎の影響によって上手く排尿ができていないのかもしれません。
子供の多くで見られる症状ですので、決して怒らず、座って排尿するようにやさしく促す・都度掃除する等で対応しましょう。
なお、包皮を無理に剥こうとすると、亀頭包皮炎(陰茎の先端が発赤・腫脹する症状)・嵌頓包茎(包皮が剥けたまま戻らない状態)等を引き起こす可能性があります。
絶対に無理に剥こうとせず、様子を見るようにしてください。
子供の包茎の治療方法
“子供の包茎は高校生から成人になる頃までは様子を見る”が大前提にはなりますが、一部治療が必要なケースもあります。
例えば、前述した嵌頓包茎はそのままにしておくと陰茎部が壊死する可能性がある危険な状態です。
痛みや違和感を訴えている場合は、すぐにお近くの泌尿器科や小児科へ足を運び医師の判断を仰ぐようにしてください。
なお、子供の包茎治療としては以下の2つが代表的です。
保存療法
保存療法とは「手術以外の方法」で改善を目指す治療のことです。
親の協力のもと、親若しくは幼児本人が包皮を繰り返し翻転してもらうという方法が一般的で、剥き癖を付ける・包皮との癒着を少しずつ剥がすという狙いがあります。
ただし、無理に剥いてしまうと嵌頓包茎や亀頭包皮炎等になってしまう恐れがありますので、慎重に行う必要があります。
包茎手術
余計な包皮を手術によって切除する方法です。
包皮の最も狭い箇所を縦に切開する「背面切開術」、余った包皮を丸く切除する「環状切開術」の2パターンが代表的な術式となります。
こどもの包茎・海外諸国の対応
海外では、出生と同時に包皮を切除する国もあります。
ただしこれは宗教的な側面が強く、主にイスラム教やユダヤ教が国民の大多数を占める国家で多く見られます(トルコやイスラエルなど)。
また、アメリカでは20世紀後半まで「自慰がこどもの成長に影響を及ぼす」と考えられていたため、幼児の段階で包皮を切除する等の措置を執っていました。
現代もこの名残によって、幼少期に包茎手術をする地域もあるそうです。
一方で、ヨーロッパ諸国は「包茎が当たり前」という考え方が強いため、仮性包茎の子供を手術するようなケースはほとんどありません。
このように、包茎に関しては様々な文化がありますが、基本的に子供の包茎は気にしないで問題ありません。
ただし、包皮が腫れている・痛がっている等の違和感がある場合はすぐに専門医に相談しましょう。
また、高校生ごろになっても上手く包皮が剥けない場合も、一度医師に診てもらっても良いでしょう。