クーリングオフは原則不可?
金銭トラブル&高額請求の対処法

「5万円~という広告に惹かれてカウンセリングを受けたら、70万円の見積もりを出された…」など、包茎クリニックによる高額請求が後を絶ちません。金銭トラブルにならないよう、事前に対応策を確認しておきましょう。

高額請求に注意包茎手術トラブル~金銭編

医療ミス・機能トラブルなどの技術的な問題に次いで多いのが「金銭トラブル」です。

中には、10万円程度だと思っていたら見積額が100万円を超えてしまった、といった声もあります。

何故包茎手術には金銭トラブルが絶えないのでしょうか。

誇大広告の違法性、契約時の注意点、クーリングオフが可能かどうか等について解説いたします。

想定よりも高くなる費用

ディスカウントの文字と電卓

包茎手術を受けた方の口コミや掲示板の書き込みの中には「思ったよりも高かった」という内容のものが多く見られます。

実際の施術料金とイメージに乖離が生じる一つの要因として「今なら包茎手術が○万円からできる!」「キャンペーンにより料金から○万円引き」「他院と比べて安い」など安さを前面に押し出した広告の存在が挙げられます。

その値段なら…という気持ちでクリニックに足を運んだところ「○○もやった方がより理想に近づける」「広告の手術の対象は○○のみ」など、言葉巧みに誘導されついつい高額プランを契約(又は追加)してしまったというパターンがほとんどのようです。

実際にはどのくらいの人がイメージ違いを感じているのか、データを基に確認してまいりましょう。

イメージと実際の契約金額に大きな開き

包茎クリニックを受けた人のイメージ調査

上記は「美容医療サービスにみる包茎手術の問題点|国民生活センター2016年6月23日公表」より抜粋したグラフです。

「心づもりしていた費用」と「実際の契約金額」には大きな乖離が見られ、予定していた金額が一致しているケースはほぼありません。

もちろん、しっかりと内容を確認・納得の上で契約を締結すればこのような齟齬は生じないのですが、コンプレックスを解消できる・より良い仕上がりになるといった期待から正常な判断が下せないまま契約へと至ってしまうようです。

このようなトラブルに巻き込まれないよう、最低限の法的知識及び心構えを身に付けた上で契約に臨むようにしましょう。

安さのアピールは違法

平成30年6月に実施された医療機関のウェブサイト等に対する規制により、低料金を前面に押し出した過度な広告は一律NGとなりました。

「安さ」を猛アピールする包茎クリニックにはくれぐれも注意しましょう。

契約前の対応策

まず、当然ですが料金のイメージをしっかりと固めておくことが大切です。

医療法改正によって誇大広告が禁止され、ほとんどの大手包茎クリニックのウェブサイトでは各手術の料金プランが掲載されています。

安価なプランから高額なプラン、増大術・長茎術といった追加オプション等がありますので、ご自身がどのような施術を望むのかを今一度確認するようにしてください。

もしもご予算が決まっているのであれば、その旨をカウンセラーに伝えるのも一つの手です。

万が一、ご自身の料金イメージと齟齬がある場合、その場では絶対に契約せず一旦持ち帰るようにしましょう。

契約してしまった場合の対応について

契約書にサインする男性

「高いと思ったが、つい契約してしまった」

「担当者に粘られ、断り切れなかった」

という方は、直ぐにクリニックに連絡し契約を取り消せないかを確認してみてください。

クリニック側がどうしても取り消しに応じてくれない場合は、クーリングオフで対応できるかどうかを検討してみましょう。

クーリングオフとは

クーリングオフとは、特定商取引法に規定されている制度で、簡単に言うと「特定の業務に対して」「一定期間内であれば」「無条件で契約を解除できる」というものです。

つまり、クーリングオフは全ての契約に適用される制度では無く、ある特定の契約にのみ利用でき、解除できる期間も契約内容によって異なるということになります。

美容医療でクーリングオフを適用するには以下の条件を満たさねばなりません。

1.特定の施術に該当すること

特定商取引法では、美容医療サービスのうち「人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、体重を減じ、又は歯牙を漂白するための医学的処置、手術及びその他の治療を行うこと(美容を目的とするものであって、主務省令で定める方法によるものに限る。)。」をクーリングオフの対象としています。

主務省令で定める方法とは、具体的に脱毛・シミやほくろの除去・皮膚のしわやたるみの軽減・脂肪吸引・ホワイトニングなどです。

2.特定継続的役務提供に該当すること

特定継続的役務提供とは、例えばエステや医療美容サービスを長期的かつ複数回に亘って利用したり、美容に関する食品や化粧品等を定期購入したりする等の契約を指します。

具体的には、提供期間1か月・金額5万円をそれぞれ超えるものが対象です。

3.契約締結に不備があったこと

概要書面や契約書面の交付がなされていない・迷惑勧誘等の禁止に該当する・不実告知(故意の事実府告含む)があった・威迫や困惑行為を用いて無理矢理契約させた・誇大広告等の禁止に該当する等によって、正常な判断が出来ない状態で契約を締結した場合、クーリングオフによって取り消すことができます。

包茎手術は原則対象外

残念ながら包茎手術は上記の要件に該当せず、原則としてクーリングオフができません。

しかしながら、継続的な契約であった場合(例えば包茎手術と併せて脱毛を契約したなど)、包茎手術以外の部分については取り消せる可能性があります。

また、保険診療が可能な症状であったにも拘わらず、それを告げずに高額な自由診療によって施術が実施された場合、当該契約が無効となる可能性もあります。

「しまった」と少しでも感じた場合は、直ぐに然るべき機関・弁護士などの専門家にご相談の上、対処するようにしてください。

即日契約は厳禁

残念ながら現在包茎手術そのものはクーリングオフの対象ではなく、契約してしまった場合は各状況に応じて対処していくことになります。

国民生活センターや消費者ホットラインでは相談は聞いてくれるが解決策を具体的に提示してくれる訳では無いので、まずは「自分の身は自分で守る」という意識を持ちましょう。

繰り返しになりますが即日契約は絶対にせず、見積りのみに留めるようにしてください。